1日研修と2日研修の違い(「空飛ぶタイヤ」映画版とドラマ版)

現在、上映中の「空飛ぶタイヤ」を観て来ました。

テンポもよく、軽快。あっという間の2時間でした。
でも、なんか、モヤモヤ。

何年か前にWOWOWドラマで観ていた私は、ドラマ版をもう一度、観てみました。
こちらは、合計5時間ほど。

モヤモヤが解消しました。
何かの事態が起こる理由なり事情が明らかにされたからです。
(描いているといってもよいでしょう)

ネタバレになるので、あまり書きませんが、例えば、メインバンクから貸しはがし
に遭う赤松社長(主人公)に手を差し伸べてくれる別の銀行。

映画では、さらさらっと救世主が現れて、融資してくれてと、危機を打開してくれます。

ドラマ版では、なぜ、その別の銀行と知り合うことができたのか、
融資の決定までにどんな大変さがあったのかが丁寧に描かれます。

この辺は、赤松社長と同じ零細企業の社長である私はその苦労に大いに共感するものです。

映画版では、スムーズに行きすぎて、「んなわけないだろっ!」とそこでもう物語に入って
行けなくなりました。

また、車のメカニズムによっぽど詳しくないと、一体、何が問題でどうなっているのかが
さっぱり分からないでしょう。

元自動車販売(トレーラーではないけど)営業マンの私でも映画版ではさっぱり分かりませんでした。

映画のほうは様々な事情やら制約があって、2時間という上映時間になったとは思いますが、

映画「64」のように、前編と後編のつくりにできればと思いました。
(まぁ、それは無理だったんでしょうけど)

俳優陣は健闘していましたが、演技で脚本のアラをカバーするのは限界があります。
(これは、研修において、インストラクションで、プログラムの不備をカバーするのは限界があるのと同じ)

ここからは、研修講師としての観方

このことは、あるテーマの研修をするのに、

・1日で実施する
・2日で実施する

このことを検討する際に注意することを示唆しています。

この例だと、2.5日ですね。

テーマの内容、ボリュームをよく考えながら、時間設定をしないと、1日しか取れないのでと、
あれもこれもと詰め込むことをしてしまいます。

講師はそれをなんとか消化しようと、プログラムを駆け足で進行させます。

でも、ちゃんと仕事をする研修講師は知っています。
この展開では、ついてこれなくなっている受講者がいることを。

この映画を観ていた私は、途中で、物語に入れなくなっていました。
悪くはないけど、良くはない。

これが最終的な印象になってしまいます。

誤解しないでほしいのは、1日研修がダメと言っているわけではないこと。

この例だと、厳密には1日研修ではなく、じゃあ、2.5日必要なのかとなってしまいます。
忙しい企業が、そこまでは時間を裂けるのか。裂けないところが多いのが実情です。

テーマの選定からの研修時間の設定は、実は良い研修の大事な設計ポイントでもあるのです。

職業病ですかね。ドラマ版観ながら、「これを30分減らすには、どこを削ればいいのかな・・・」
なんてことを考えていました。

それは、

「2.5日かかる内容を、2日しか取れないので、どうしましょう!?」を
悩んでいる講師の思考でありました。

研修はドラマです。

最新刊発売中!
『会社を辞めたいと思ったとき読む本』(さくら舎)