《連載コラム》企画の心得④ 事前・事後の仕掛け「ウチ」の研修の頼み方【11】

 忙しい社員達を集めて実施する集合研修。あまり長々と時間もとれません。
と来たら、極めて限られた時間での実施を考えることとなります。

 私のこれまでの経験では、1日研修のMAXは10時間。MINは2時間。
 2日研修の場合は合宿方式で受講者は全員泊まり込みのパターン。そうですねぇ。これで、
2日間の合計でMAXは18時間といったところでしたかね。連続3日という研修もありましたが、
2020年2月頃にはじまったコロナ禍前の時点で既に激減していました。忙しい社員を3日も
拘束できないということでした。

ということで、今の私の実感値では
 ・1日研修:6~7時間
 ・2日研修:12~14時間
こういった時間帯が多いところです。

 かけられる時間は長くなくても、できるだけ沢山しっかりと学ばせたいのは、研修実施の
企画元の正常な感覚です。そうすると、「それでは時間が足らないなぁ」の悩みが湧き出て
来ます。そこで出て来る仕掛けが「事前課題」と「事後課題」です。

 事前課題は、
 ・受講前の動機づけ(これに取り組んでもらうことで「さぁ、研修受講だ!」
  の気持ちを高める)の部分を持たせながら、
 ・会場での進行の中で時間が取れない時、時間が取れたとしても課題に取り
  組むのに手元に関連情報・データが必要な時に、事前に各自の時間裁量
  の中でやって来られるように出題されます。

 講師側の私の経験からも「事前課題はお持ちですね?」と会場で皆さんに投げ掛けて、すぐに、
机の上にごそごそと取り出されて来る風景を目にした時は、概ねそのあとの研修進行はスムーズ
ですね。受講者の方々のレディネス(準備)がスタンバイできていることを感じます。

 事後課題は、研修で学んだことを感想とともに整理させるレポート型のものも多くありますが、
代表的なものは、研修後に職場で実験をしていくためのアクションプラン作成型です。
 こういうのを入れておかないと、「すぐに忘れる」「実施したことがなかったことになってしまう」
となりかねません。

 研修実施までに、少なからず手間暇、時間、お金をかけている経営側としては、こうした思い出
づくりにもならないような後日談になるのは耐えられないところです。こうなるのなら、社内旅行に
でもお金を遣っておいたほうがよかったのではというものです。
 
 この研修を受講した後、どうなってほしいのか。
 なってほしい姿に近づけるための受講後の行動へと移らせること

 これをナビゲートしていくのが事後課題というものです。
 感想文を出させて終わりでは、もったいなさ過ぎます。
 発想を変えて、思考を変え、そして行動を変えてもらう。
 そして生み出す結果を変えてもらう。目指すべきはこの路線です。

 研修実施の企画元としては、遠慮なく、こういうのを突き進めてください。中途半端にするのは
あきません。がんばってくださいね。

今回はここまで。ではまた。
つづく