《連載コラム》企画の心得③講師の選定「ウチ」の研修の頼み方【10】

 今回はいきなり事例話での語りはじめです。
 とある企業さんで、昨年実施した評判の良かった研修をまた翌年も実施しようということに
なりました。昨年、来てもらった講師を再び要望されたのですが、依頼が遅かったのか、
その講師はもう先約有りで出講不可。仕方がないので、別の講師を頼みました。
さて、このあと、どうなったでしょうか?

 と、もったいをつけた前置きをさせてもらいました。どうなったと思いますか?
この場合の結末は大別して2つになります(めっちゃシンプル!)。

 ・昨年同様にうまくいった
 ・昨年のようにはうまくいかなかった
 そう。この二択です。

 受講者の質が変わっていなかったとして、プログラム、教材も変わっていなかったとしたら、
こういう場合は講師の選定ミスが原因ということです。
 登壇した講師はウチの会社の連中に、分かるように話をしてくれたか。こういうところが、
強く問われるところになります。

 受講者が会場で講師の話を聞いていて、ドン引きしてしまうのは、「あっ、この人、ウチの業界、
ウチの会社のこと、何も分かっていない人だわ」とか「この人、どこでもこんな同じ話をしている
んだろうな(自分達には全然響かないよ)」と感じられた時です。
 
 受講者社員さん連中に、「ウチの上、変なのを連れて来やがったな」とまで思われたら、これは
もう一般社員から経営幹部への信頼の失墜にまで発展してしかねません。発注側たる経営幹部の方々
は、研修会社の営業担当の言う事を鵜呑みにしないで、ぜひぜひ「おススメするこの講師は何故、
ウチの会社に合うとお考えなのですか?」と訊いてみてください。

 余談ですが、担当予定講師の職歴は一つの大きなヒントになりますね。
 これは、講師のプロフィールシートに書かれていなくても、訊けば答えてくれるはずです。
(答えてくれないと怪しいゾ!?)

 私の場合は、新卒で入社したダイハツ工業(株)、その次に転職した三菱化工機(株)。この二社
での職歴には随分と助けられました。

 「あっ、ダイハツさんにおられたんですか?」
 「へぇっ、カコウキさんに…」
 こういった会話のあとに、少なからず活路を開いてもらいました。
 昔の看板、バカにはできません!

 講師の生きて来た道のり、身にまとう職場の空気感、業界の共通感覚、共通言語を分かり
合えること、
こういうのが大事なんですよねぇ。

 ひらたい言葉で表現すると、クライアントさんからすると、

「ウチの苦労をリアルに分かってくれる」講師がいいのです。

逆に「ウチのこと、全然分からないくせに、勝手なこと、偉そうによく言うよ!」こう思われたら
最悪ですね。
発注側たる経営幹部の皆さん方は、ウチの研修ですから、ウチに合う講師を要望しても何も悪いこと
はありません。担当予定として提示された講師が「この人、なんか合わないような気がする」と
感じられたら、再考されることをおススメしておきます。「なんか合わない」というのは、口でうまく
言えなくても、自身の体がそのように感じたのなら、それで判定はOKです。
案外、こういう勘はよく当たるものです。

と、私、いろいろなことを申しております。散々、こういうことをお話した後で恐縮ですが、自分の
出身業界以外のところに行っても、そこの受講者に分かり易く説明しながら高い専門性を発揮できる
講師も世の中にはいるにはいます。その陰にはその講師のとてつもない業界&その会社さん研究の
努力があることを付記しておきますね。努力している人はやっぱ違います。

今回はここまで。ではまた。
つづく