《連載コラム》企画の心得①その研修の目的「ウチ」の研修の頼み方【8】

 研修というものはやればいいというものではありません。
 
「なぜ、その研修は必要なのか?」

このことに明確かつ具体的に答えることができないと、やっているだけの研修。
いわゆる行事としての研修となってしまいます。主催者側は実施した事実だけが
残ればいいという動機です。あっ、こういうのを別名:アリバイ型研修とも
言いますね。受講者は開催の意味合いが分からず、出るのは文句だけ。

 もちろん、研修がないと知り得なかった知識を知れたとしたら、この部分だけでも
実施した意味は皆無とは言えません。でもね、実施した結果、受講者の発想・思考・
行動がバージョンアップしないのなら、やっぱり投入した資源はもったいなかったと
なります。残念なり。

 受講者社員の時間と行動を縛り、集める必要はそこにはありません。単なる知識習得
なら、各自の都合の良いタイミングで、Webで動画でも見てもらっていたらいいでしょう。
 
 もう一度、いや、少しかみ砕いて言います。

 その研修を実施することで、受講対象の社員さん達に、どのような発想・思考を持って
もらいたいのか。そして、受講後の行動をどのように変えてほしいのか。これが、その
研修の実施動機というものです。別名、パーパス。それは、その研修の存在理由であり、
実施の目的となるもの。

 パーパスがしっかりしていない、ろくでもない例が、不祥事の後にぞろぞろと実施する
研修。ほら、コンプライアンスやら、ハラスメント関係のものです。いろいろと思い浮かび
ますね。
 
 あっ、こういうことを言うと、私が、この系統の研修を嫌っているように思われるかも
しれませんが、そんな意図は一切ないことを申し添えておきます。それどころか、私自身、
このテーマで研修を担当することがある立場でございます。
あらっ、脱線しちゃいました。本題に戻します!

 不祥事再発防止のために、一応、「実施しましたよ!」の履歴づくり。
 これが本音の目的であれば、その会社・・・おそらく、きっと、、、
 何年か経てば、またやっちゃいますね。そう、不祥事を。その後に起こるは、不祥事勃発の
バージョンアップなんて、こんなのは悪夢以外の何物でもありません。実施することが実質
本音の部分で目的になってしまわないように。研修を実施することが目的ではありません。

 研修は手段です。何を実現するための手段なのか?ということですね。こういうのが、案外、
出発するところから、大きくズレてしまうことがよくあるんですねぇ。

今回はここまで。では、また。
つづく