《連続コラム》発注主と講師の責任分担 「ウチ」の研修の頼み方【2】

最初に言っておきます。研修の責任は講師側100%に非ず。発注主と折半です。
そう!フィフティー・フィフティーですよ。
 いやはや、これを力説したい苦い思い出があるんですよ。わたしには。
 気がつけば長い何月を重ねている講師生活。研修を終えてから、クライアント
さんから呼び出されたことが、今までに1回だけあります。その案件は、とある研修
会社を通しての受託だったので、その会社の営業担当と共に、連絡を受けてからの
最短期日で、出向きました。

いやぁ、ひどい話でした。受講者アンケートをこちらに広げながら、
「なんなんですか!これは」と、罵声を浴びせられ・・・

その研修の受講者数は20名程でしたかね。今でもはっきりと覚えています。
満点5の評価で、「5」が一人。「4」が二人でしたね。あとは、
「1」と「2」ばかり。どちらかというと、「1」の方が多かったです。
まぁ、このデータからは成功したとは言えません。
(ただ、プロの視点からは全員が「1」の全不適ではなく、
「5」「4」の適合者がいたというのは注目ではありました)

クライアントさん(相手の会社)は、担当者と課長の二人でした。冷静に
アンケート結果を見ないこの二人は、実は、両方とも研修会場にはいたのです。

「こんなので、お金払う必要あるんですかね。やらないほうが、よかったのと
ちがいますか」課長は語気荒く、まくし立ててくれました。

事態は、どうやら全面的に私に非があるような雰囲気になっていました。

あぁ、書いているとまた腹が立って来た。巨大な不愉快は何年経っても色褪せません。
なんと記憶が鮮やかに蘇ることか。

 さて、この話を長々とする気はありません。なんで、こんな話を取り上げたか
というと、責任分担は講師側100%ではないということの例です。

このケースの場合は、研修テーマ・プログラム・教材が、受講者の実情と見事に
アンマッチだったのです。熟練の講師が現場でなんとか調整できるレベルでは到底
ありませんでした。

現場で気づいた時には既に遅し。大外していました!(自慢になりませんが)しかも、
研修のゴールが、なんとしても精密な実践行動アクションプランを研修時間内に完成
させてくれとのことでした。「まじか!?」のレベルでしたね。

もう無理を通り越して、無茶のオンパレードでした。しかも、冒頭にあった社長講話。

普通、こうした講話があるのは事前の動機づけにもなるし、それは望ましいことでは
あったのですが、これがまた、特大逆効果!

この社長、自分の集中力がなくなるからと、カーテン閉めさせて、部屋を暗くして、
深刻に、暗い&重ーいトーンで、会社がいかに大変かの話のオンパレード。
場の雰囲気は、一気に盛り下がっていきました。ここまでやる気を失わせるトップ
講話も珍しいと、私は会場の後ろで傍聴しながら聴いておりました。

こんな状態で引き継いで、そして、上述のようなアンマッチが次々に露呈していく
中での研修進行。こちらの心中としては、「聞いてないよ!」のオンパレード。

講師側から言わせると、この状況の中、よくぞなんとか研修を成り立たせたなと
いった心境でした。
ところが、終わってみたら、全部こちらのせいになっている。しかも、一緒に行った
研修会社の営業担当といったら、「申し訳ございませんでした」と米つきバッタの
如きペコペコ。

こうして、講師の私が100%戦犯確定となりました。

このケース、ちゃんとヒアリングして講師に伝えてなかったウチの営業も悪いけど、
こちらの提案に対して、OKを出した発注側の責任もあるのです。

受講者の方々にも充実していない時間を過ごさせてしまいました。
こんな研修にならないように気をつけなきゃいけませんわ。

なんで、私がこんな連載コラムをはじめたのか。
講師の私は、頼まれ方のプロになるべく努力していますが、それだけでは足りません。
そこに、講師への頼み方上手に加わってもらう必要があるのです。

良い研修をつくり上げるために。

つづく